音楽の根っこ

大正駅近くの川沿いに新しくできたカフェ。店内はほぼ満員。にぎやかな声が聞こえる中、編集者の岩淵さんとデザイナーの和田さんとの3人でお打ち合わせ。

「底本になるような冊子になると思います。」

岩淵さんの発言を聞いて、ちょっとドキドキ。
オーケストラがプロでない人たちとワークショップを行う。そのとき”何が必要か”をまとめた本。そんな本は世の中にない、とのことでした。著者は音楽家の鈴木潤さん野村誠さん。お二人とも広範な音楽活動の中、ワークショップも数多く経験されています。

  • 長く読まれる可能性のある冊子。だからタッチは時代に左右されないもの。
  • 色は多くても2色程度。

そんなお題をいただいて、イラストサンプルを作成しました。

3章の扉絵用のイラストを使ってサンプルを作成。顔の描き方は流行り廃りがあるので省いてみた。背景は本で使われる予定の色。

表情があった方が良いという指摘をいただき、修正。

顔を描いて3つの案を提出。顔はできるだけサッパリと。

冊子のタッチがC案に決定しました。

イラストの方向が決まったところで、冊子の表紙に取り掛かります。一般の人たちとオーケストラが触れ合うようなイメージでご提案。

提案1
提案2

表紙についての返答を待っていると、冊子のタイトルが「音楽の根っこ」に決定というご連絡。

当初予定されていた”ワークショップのノウハウ”という枠を超え、”音楽の根っこ”に著者お二人が迫る内容に飛躍しました。「これは面白い本になりそう!」でも、提案した表紙案が内容に合いません。こりゃまずい。

2つともボツにして、岩淵さん・和田さんと一緒に考え直すことになりました。
そんな中、和田さんから「楽器で根っこを作ったらどうですか?」というご提案。描いてみることにします。

この案で決まり。仕上げていきます。

完成したイラスト。

次に1章以外の扉絵に取り掛かります。頂いた指示からラフを作成していきます。

その中の2つの扉絵。左は『オーケストラ2名と、ワークショップ参加者2名が演奏している』
Bは『ベートーヴェンが即興演奏で遊んでいる』。ラフ段階で構図とポーズを修正。
着色後、左側は服装を、右側は毛量を変更。

タイトルが「音楽の根っこ」に決まった時、内心「こりゃ、まずい」と焦りました。考えてみると、最初から最後まで、自分の脳みそだけでは、作り得なかったお仕事でした。

音楽の根っこ 冊子

制作時期
2020/2/14 - 2020/3/30
制作日数
ラフ作成7日 仕上げ15日
制作物
大イラスト1点 中イラスト9点
小イラスト3点
使用ソフト
Illustrator
ほか
page top