2025
10/14
10/14
キヨシ

キヨシが帰らなくなってきた。
うるさく働いていると思ったら、静かになって、気づけば廊下なんかでじっとしている。という姿を、よく見るようになった。
キヨシはロボット掃除機で、名付けたのは私だ。床を掃除してくれるからキヨシである。
命名すると愛らしく感じるのかもしれない。家を学習し、かしこく動くような機能はない。落ちそうな場所にはバリケードを作り、妨げになるものは机に上げる。動かすまでの準備は面倒、けれど不器用に動く姿は健気で好きだ。体力がなくなると掃除をやめて、キュルリキュルリとうるさくゆっくりと、彼の家である充電場所に帰っていく。それが戻れなくなった。掃除の時間も4分の1くらいになり、買い替えがちらつく。同じような商品も高いわけではない。
でもなぁと調べていると、バッテリーが交換できることを発見した。
早速購入し、あたふたと交換。充電するも、完了までがやけに長い。動かすとギュンギュンと家中を徘徊する。いつまで掃除してんねん、と思うほどに働くようになった。元に戻った彼の姿がうれしくも、バッテリーを交換するだけで若さを取り戻したキヨシがうらやましい。