2025
05/26

2025年5月の見たり読んだり

心の深みへ/河合隼雄・柳田邦夫
河合隼雄さんと柳田邦夫さんの対談を集めた本。「死ぬ瞬間」で有名なキューブラー・ロス、彼女の死を前にした発言をきっかけに行われた対談がすごい。

不動智神妙録/沢庵 宗彭
沢庵が理想とした心の状態に「不動智」ついて、さまざまな角度から語られる。平易な訳のおかげで読めるけれど、「分かりました」とは言えない内容。10年後くらいに「ちょっと分かったかも」とか思えるようになっていれば御の字だ。

◯「身体感覚で『論語』を読みなおす。」「すごい論語」「あわいの時代の『論語』」/安田登
孔子が何となく信用におけないのは「四十にして惑わず」のせいだ(と私は思っている)。「聖人は、ちゃいますねぇ」と、私にゃ関係ない人の印象を持っていた。その”不惑”を、歴史的な事実と著者の想像力で、みずみずしい言葉に塗り替えていく。興奮して3冊を続け様て読んでしまう。中でも「あわいの時代の『論語』」は、「身体感覚で『論語』を読みなおす。」の内容を「すごい論語」の対談を経て、推し進めたような内容で、「ほぉ〜・・」という声が出た。

成瀬巳喜男の映画を初めて観た。どの回も映画館内は60〜80代と思しき方々で賑わっていた。たった3作ではあるど、どれも上品。見終わった後は心がホクホクだった。

◯めし
戦後すぐの北浜の景色に、今の街の輪郭のようなものが見えて感動。理由はよくわからないけれど、昔の映画にはそうした楽しみもあるようだ。
夫婦の役割が決まって何年か後の日常を、夫の美しい姪が揺さぶる。夫婦にとってこの若き姪は謎だ。周りが振り回される姿に、若者に会った時の自分が重なる。最後の夫婦の会話が素敵。

◯稲妻
清子の家族は残念だ。家族に寄ってくる人たちもまた残念だ。清子が哀れになってくる。映画の中で使われる曲が素晴らしくてピッタリで、検索してみたら、映画のために作られた曲だった。

◯流れる
元スター芸者が切り盛りする老舗の芸者置屋は死に体。優秀な女中が入ったところで焼け石に水だ。次から次へと起きて欲しくない事件が起きるし、時代にもそっぽを向かれ始める。のだが、警察にしょっ引かれても、できることは同じこと。という映像に絵を描くことしかできない私は苦笑い。

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