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2025年3月の読んだり見たり

◯少年が来る/ハン・ガン
映画『ペパーミント・キャンディ』を20年ぶりに観たこともあって、この本を手に取った。はじまりから描写、描写、描写・・・。おそらく韓国の方なら、おのずと光州事件の映像とリンクしていくのだと思う。少年の兄から託された「「誰も私の弟をこれ以上冒涜できないように書いてください。」に応えて、命をかけて書いた作品なのだと思う。『ペパーミント・キャンディ』とセットで観たのは正解だった。読んだあと、それぞれの作品がエグ味を増す。
◯猫を棄てる/村上春樹
父の日課と思い出から、父の戦争体験とその戦争が語られ、今が地続きになっていく。読んだあと、母の記憶がしっかりしているうちに、亡くなった祖父母と母のことを聞いておこうと思った。
◯働きざかりの心理学/河合隼雄
中年は、おでこが広くなったり、腹がでたり、体力がなくなるだけでは無さそうだ。ということを最近思い始め、一つの心がまえとして読む。「人生に思春期があるように、思秋期があるように思われる。」の一文にホォと声がもれた。思春期も厄介だが、思秋期は親・子・夫婦・老い・仕事の問題が畳み掛けてくるのだからたまらない。昔はこれらが押し寄せる辺りでポックリだったから問題にはならなかった。けれど、これからは長生きするし、深刻で一般的な問題として浮上するだろう、という1995年の本。まぁ、ウツになるのも仕方ねぇなぁと思うし、おそらくだけど、長い目で見れば悪いことではないのだろう。
◯日本の名著〈11〉中江藤樹・熊沢蕃山
近江聖人と呼ばれ、日本・陽明学の祖とされる中江藤樹。この本では「翁問答」が収録。プラトン方式と言えば良いのか、師弟の対話という形を取って藤樹の考えが説かれる。「書物が多過ぎて何から手を出せば良いか分からない」という弟子に「古典を読め」と師が言う。今も昔も似たようなやり取りがされていたようだ。「礼は時代で違うから、周をマネするのは違う」みたいなことも書いてあって、なかなかすごい。ただ「翁問答」の出来に当人は満足していなかったらしい。で、書き直している最中に逝去。日の目を見ることはなかったはずが、どこかの出版社がマガイモノを出版。仕方なく弟子たちが出したらしい。
そんな藤樹の門下・熊沢蕃山は師を「あと5年生命が伸びていたならば、学問も最高のところに到達できるところがあった」と評し「翁問答」の納得いかないところを指摘。そんなことするもんだから、同門に嫌われる。王陽明を支持するもんだから朱子学者にも嫌われた。何かと非難の多い状況を「俺の徳から考えれば仕方ない」と言う。何となく不器用そうな人だ。あまりに蕃山が”大したことない人”を自称するから、しがない学者だと思ってwikipediaを見てみたら、、かなり大した人だった。
◯はなちゃんおふろ/長新太・中川ひろたか
息子が図書館で見つけてきて、一緒に読みながら思わず吹き出す。中川ひろたかさんは当て書きしたのでは?と邪推してしまうほど長新太さんにマッチしたおはなし。