2024
05/29

画聖の引力

『雪舟伝説』という中々なタイトルの展示を観に行く。
会場に入るとすぐにエレベーターで3階へ。3階から始まって1階まで続く。かなりの人だ。
16メートルあることでお馴染みの「山水長巻」の前には同じくらい長い行列。
さすが画聖を”カリスマ”とフリガナを打つ企画者がいるだけのことはある。
人だかりを避けつつ、フラフラと歩きながら作品を見ていく。目当てだった「慧可断臂図」は「山水長巻」ほどの人気はないようで、じっくりと見ることができた。

荒々しく描き込まれた岩肌を背景にした達磨。淡い墨で太く抑揚のない線で描かれた服。切り落とした手を運んでいる慧可も達磨も何だか素っ気ない。変でとても魅力的な絵だ。

1ー2階は彼に影響を受けたとされる絵師が紹介されていた。
中でも目を惹いたのは狩野山雪の「富士三保清見寺図屏風」だ。
角度を変えたり、うんこ座りしたりして、見る場所を変えていく。
ここだ!という所から見ると、金泥が発光して富士が浮き出てくる。ウットリ。月の光や朝日、夕日を浴びたらどれほど美しいのだろう。

”外光を再現した環境で金泥を使った作品を照らす”企画を、どこかの美術館でしてくれないだろうか。

全体を見終わって、1階出口の前で足が止まる。また3階に行き、慧可断臂図や他の作品をもう一度観たあと帰途についた。

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