2024
04/26

ルーツ

高校生だった頃、2つ上の兄は夜更かしが日課だった。
家族が寝た後、三兄弟で共有する部屋を独り占めする。
何をしていたのかは分からない。
おそらく何かをするというよりも、一人の時間が欲しかったのだろう。

そう想像してしまうのは、私が16歳ぐらいに『一人の時間が欲しい』と強烈に思ったからだ。

しかし困った。夜はすでに兄のもの。腕力でも敵わない。

色々と考えた末に、兄が寝た頃に起きてみることにした。
朝4時、まだ真っ暗な家をフラフラと這い出す。
トイレに行き、顔を洗い、コーヒーを持って子供部屋に向かう。
親には”勉強のため”と言っていたけど、身が入らなかった。
絵を描き、ラジオや音楽を聴き、漫画を読む。
家族が起きるまでの時間を、存分に楽しんだ。

それが今も続いている。
早起きは世の中的には良き習慣だ。人に話すと褒められたりもする。
嬉しくはあるけれど、兄に押し出される形で始まったもの。
朝型になったことに積極的な意思がないのだ。

そういえば、何度か早起きができなくなったことがある。
その度に考え、原因を探り、また起きられるようにと工夫した。
自分でもその真剣さはナゾだったのだけど、今は思う。
おそらく私の中でまだ暗い朝の時間は、自由なのだろう。

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