塩野七生さんの「ギリシア人の物語Ⅲ」を読む。
彼女の著書の19歳からのファンであるので、もはや冷静な判断ができないのだが、今回もまた最高に面白かった。
個人的に唸ったのが、アレクサンドロスの死後の章に出てきた以下の文章だった。
「ヘレニズム世界という真の意味でのアレクサンドロスの遺産が、なぜ半世紀も続いた同士討ちの間も、そしてその後も存続できたのか」
本来、そこからギリシア史のメインになるはずである「アレクサンドロスの後継者争い」を簡易な表にまとめて傍流として扱い、本流は上記の問いであると指し示す構成はなかなかすごい。
個人的な歴史観としては、アレクサンドロスはすごかったけど、無茶してすぐ死んじゃったし、その後の後継者争いもあって、アレクサンドロスの夢は離散しちゃった。という安直なものだったが、実際のところは為政者ではない多くの人々によって受け継がれていたようだ。